98:最終話

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そう言って輝幸は、ライブウェルからバスを一匹ずつ取り出した。
そして、まるで済まなかったな・・・とでも言うように
優しく丁寧にリリースしてやった。

そして、最後の一匹をリリースして、さっと吉田の方を振り返った!
その顔は、本当に少年のような澄んだ微笑みに充ち溢れていた。

「さぁ!行こうか!
 みんな、待ってる!」

溌剌とした大きな声でそう言うと、190馬力のV6を湖面に降ろし
スターターボタンを押した。

いつものカン高い音を発してスキーター吼えた。

「このボートも、もう用無しだな・・・・
 帰ったら、カヌーを一台買うよ。」
そう言って、いきなりフルスロットルをくれてやった!

最後のスピードを楽しむように、彼のスキーターは
最高速で計量所に向かう。

30分後、輝幸は一番最後に計量所に姿を現した。
待ち構えていたように、プレス連中が彼をあっというまに
取り囲んだ。

「藤野さん!どうでした?今日は?!」

「藤野さん!磯村さんに勝つ自信は?!」

「藤野さん!今日は何Kgくらい釣ったんですか?!」

「藤野さん!逆転チャンピオンはあるんですか?!」

あちこちから質問が矢継ぎ早に攻めてくる・・・

輝幸は、連中の質問を両手を大きく振りかざしてさえぎり・・・
そして、屈託のない、大きな明るい声で堂々と言い放った!

「ノーフィッシュさ!」


2008年9月30日(火)

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