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そこで、今度は20秒程の長めのポーズを取り
そして次のアクションを加えようと、少しラインを張った瞬間!!

「ガボッ!」

という激しい水音といっしょに水面が炸裂した!
同時にぐっとロッドが重くなる。

「ビンゴ!・・・やっぱり出やがった!」

待ち構えていたとはいえ、何度聞いてもあのガボっという音は心臓に悪い。
しかし、この瞬間こそがトップウォータープラッギングの醍醐味だ。

アクションがつけやすいようにと、今回のラインは10ポンドである。
よほどの事がない限り、切られることはないが、そこは10ポンドラインであるから
慎重にこしたことはない。

ラインの先のバスは30cmは軽く超えているであろう、キーパーサイズである。
これくらいのバスではそれほど慎重になる必要は無いし
増してや大胆なランディングで鳴らしている輝幸にとって
なんでもないバスなのではあるが・・・・
前回、池原ダムでの失敗もあるので、ここはかなり慎重に取り込んだ。

35cmのそいつは、少し痩せていたが立派なキーパーサイズである。
丁寧にライブウェル(活けす)に放り込んで、またすぐに違う流木に向かってキャストした。

ワンキャストでキーパーを獲れたので、心理的にはかなり楽になったが
それでも輝幸の心の中にまで降り注ぐ雨は、相変わらず冷たかった・・・・

またも、あの老釣り師の言葉が蘇ってくる・・・・・


2008年7月30日(水)

NO-FISH・過去記事
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