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初戦、この霞ヶ浦で最も注目を集めるのは
過去このトーナメントで2回ものチャンピオンを獲得し
更に、二年連続3回目のチャンピオンを目指す
”磯村省吾”その人である。

名実ともに日本を代表するバスプロである磯村は
来年からはバスフィッシングの本場アメリカの
プロサーキット入りが確実視されている中
日本への置き土産として、誰も成しえなかった
二年連続のチャンピオンの栄光を掴んで
華々しくアメリカへ旅立つことに
異常な執念を燃やしていた。

その豊富な経験と実力からして
今年のチャンピオンも磯村だろうと、誰もが思っていた。


藤野輝幸は、今年から参戦のルーキーである。
当然、注目度はかなり低かったので
報道陣に囲まれることもなく、独りいそいそと準備に走り回っていた。
取材陣に囲まれインタビューを受ける磯村を横目に輝幸は
「へん!・・磯村さんよ・・・・・
 そうやってられるのも今のうちだけだぜ。
 よおく味わっておくんだな・・・」と嘯いた。

注目度こそ低いものの、輝幸にも相当な実力はあった。
アマチュア時代から釣って釣って釣りまくっていた。
その大胆で華麗なルアーアクションは、
一部ではかなり話題となっていた事は、紛れもない事実である。

しかし、プロ一年生の輝幸にとってこの過酷な最高峰の舞台
全日本GPは荷が重く、打ちのめされてしまうだろう・・・
と言うのが大方の評判で、それもいた仕方ないところであった・・・。


2008年5月24日(土)

NO-FISH・過去記事
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