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輝幸は、プラクティスであらかじめ決めていたポイント近くで
モンスターのエンジンをストップさせた。

スキーターは停止するときにもその船首を高々と持ち上げる。
まるで、あのフェラーリのエンブレム・・・プランシングホース
そのものであった。

エンジンを止めると、辺りには静寂が戻ってきた。
時計はまだ7時を指していた。

エレクトリックモーターを静かに湖面に降ろし
魚探のスイッチを入れる・・・・
・・ブーン・・・という音と共に、コンピューターが立ち上がり
色々なチェックの後、モニターには湖底の様子を3次元に映し出す
画面が、鮮やかに表れた。
それはまるで、生えている藻の一本一本まで映し出されているようだった。
当の輝幸本人も、その鮮やかさにしばらく見入った程だ・・・

半径15mの様子を映し出すモニターは、岸から3m・・・5m・・
7m・・・・そして15mへと一気に沈み込むかけ上がりの地形を鮮明に
映し出していた。
水温は5mラインで10℃、15mラインで9℃と比較的安定していた。
風はこの時期にしては穏やかであったが、それでも3mくらいはあるだろうか。
湖面にはおあつらえむきのさざ波が立っていた。

21フィートの巨体は、少々の風にはビクともしなかった。
船上は本当に快適だった。

そのせいもあってか、輝幸は不思議なくらい落ち着いていた。


2008年8月21日(木)

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