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「あぁ・・・よく知ってるよ・・・・
 お前の親父も昔は自然を心から愛する人間だった・・・
 二人でよく釣りに行ったもんさ・・・
 あの日まではな・・・・」

「あの日?・・・
 あの日って・・・親父が死んだ日ですか?・・」

「そうだな・・・・あの日だよ・・・。
 それまで二人で楽しんでた釣りが、いつの日からか
 生活のための釣り・・・・競い合う釣りになってしまってた

 お前の親父は、本当に釣りが上手かった。
 あいつを殺したのは、俺かもしれんな・・・・」

「そ、それはどういう事です?
 親父は事故死じゃないんですか?!」

「あぁ、確かに悲しい事故だったよ・・・
 あの日、お前の親父にルアーには全くバスは喰いつかなかった。
 あいつは人一倍プライドが高い男だった。
 自分が立ち上げたトーナメントの初戦で
 何が何でも勝つんだって、それは異常な執念だった・・・・
 私はそんなに気負いもなかったんで、かえって調子良く釣っていたが
 あいつは、それはそれは焦ってたんだろうなぁ。
 
 残り10分というところで、ようやくランカーを釣りあげて
 急いで帰ろうとしたとたん、でっかい波にさらわれて・・・・・

 あっという間だった・・・・

 どうしようもなかった・・・・

 私もすぐ後ろを走ってたんだよ。
 でも、どうしようもなかった・・・・
 
 あいつは、いつも言ってた・・
 お前だけには絶対負けない!
 いつかトーナメントをつくって、そこで決着をつけよう!ってな。

 あいつを殺したのは、この私かもしれないんだよ・・・・」

「そうだったんですか・・・・・」


2008年7月 8日(火)

NO-FISH・過去記事
連載小説 ”NO-FISH”1:第一章 プロローグ2:3:第二章 デビュー4:5:6:7:8:9:10:11:12:13:14:15:第三章 ミラクルバシング16:17:第四章 ライトゲーム18:19:20:21:22:23:24:25:26:27:28:29:30:31:第五章 ハイテク バシング32:33:34:35:36:第六章 リトルアングラー37:38:39:第七章 老人40:41:42:43:第八章 迷い・・・・44:45:46:47:48:49:50:51:第九章 フロック?52:53:54:55:56:57:58:59:60:61:62:63:64:65:第十章 最後の決戦66:67:68:69:十章 第二節 プレッシャー70:71:72:73:74:75:76:77:78:79:80:81:十章 第三節 懐かしいパワー82:83:84:85:十章 第四節 スーパーランカー86:87:88:89:90:91:92:93:94:95:最終章 ノーフィッシュ96:97:98:最終話99:あとがきNO-FISH