15:第三章 ミラクルバシング

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今度はラインを交換せずに、また同じところにキャストした・・。
何度かキャスト&リトリーブを繰り返すが、ヒットは続かなかった・・。

「そんなに甘くはないか・・・・」

相変わらずロングロッドを鋭く振りまわす輝幸は
ボソっと呟いた・・・・。

隣ではプレスが、本部へ今現在の状況を無線連絡していた。
・・・と同時にライバルの磯村の状況も耳に入る・・・。
磯村もかなり良い型を揃えているらしい・・。

「藤野さん・・・磯村選手もかなり良い型を揃えてるらしいですよ・・
 ここにはもっとバスが居ますよ!
 いつまでも同じクランクベイトじゃ、いくらなんでもバスの奴に
 勘付かれてしまいますよ・・・
 まぁ、そんなことは言われなくったって分かってるとは思いますがね・・・
 どうです、ここらでルアーを換えてみたら・・・・・」

と、プレスが言いながらふと、タックルボックスを見て愕然とした!!!

そこには、色や大きさこそ違うけれど、
すべてクランクベイトで埋め尽くされていたのである。

ワームはおろか、スピナーベイト一つも入ってなかったのである。

そして、ロッドストレイジには・・・・
万が一折れた時のための、全く同じロッドが
予備として一本入っているだけであった・・・。

「ふ・・・藤野さん!
 何ですか?!こりゃ・・・!
 クランクベイトだけじゃないですか!
 あんた、一体何を考えてるんだ!
 中学生だってワームやスピナーベイトを持ってるってのに・・・
 バスプロのあんたが・・・
 しかもトーナメントにクランクベイトだけだなんて・・・・
 まったくあんた一体・・・・」

その瞬間、それを無視するかのようにハンドルを巻き続けていた
輝幸のロッドが、またも大きくしなった・・・・

「ビンゴ!」


2008年6月 6日(金)

NO-FISH・過去記事
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