84:

← 83: | fish | 85:十章 第四節 スーパーランカー →

ただ真っ直ぐに5分ほど走って、いきなりボートを止めた。
また、彼のスキーターは船首を高々と持ち上げる。
吉田が、またシートにしがみついた。

「おい、藤野!
 どうしたって言うんだ?!」

そんな声を全く無視して、輝幸はスッと立ち上がった。
そしてまた、澄んだ目で辺りを見回した。

エレクトリックモーターも降ろさず、魚探のスイッチも入れず
ただユラユラと風に流され漂っているだけで5分ほど過ぎていた。

「おい!藤野・・・どうしたんだよ?!」

相変わらず吉田が叫び続けていたが、輝幸は微笑むだけで
一切お構いなしである。

少年のような輝く瞳でじっと湖面を見つめるだけであった。


2008年9月 7日(日)

NO-FISH・過去記事
連載小説 ”NO-FISH”1:第一章 プロローグ2:3:第二章 デビュー4:5:6:7:8:9:10:11:12:13:14:15:第三章 ミラクルバシング16:17:第四章 ライトゲーム18:19:20:21:22:23:24:25:26:27:28:29:30:31:第五章 ハイテク バシング32:33:34:35:36:第六章 リトルアングラー37:38:39:第七章 老人40:41:42:43:第八章 迷い・・・・44:45:46:47:48:49:50:51:第九章 フロック?52:53:54:55:56:57:58:59:60:61:62:63:64:65:第十章 最後の決戦66:67:68:69:十章 第二節 プレッシャー70:71:72:73:74:75:76:77:78:79:80:81:十章 第三節 懐かしいパワー82:83:84:85:十章 第四節 スーパーランカー86:87:88:89:90:91:92:93:94:95:最終章 ノーフィッシュ96:97:98:最終話99:あとがきNO-FISH