69:十章 第二節 プレッシャー

← 68: | fish | 70: →

30分ほどフルスロットルで駆け続けた輝幸のスキーターは
もう奥琵琶湖 大浦のあたりまで来ていた。

あまりに広い日本最大の湖 琵琶湖でのトーナメントでは
ポイントの絞り込みが一番大切になってくる。
数あるストラクチャーパターンの中でも、絞り込まなければ
どっちつかず中途半端で、結局なんの成果も上げられない
・・・ということになりかねない。

計量所からあまり遠いポイントでは、移動に時間がかかり過ぎ
不利であるが、輝幸は迷わずこのポイントを選択した。
最高速140km/hを誇る、彼のスキーターがあってこその
選択である。
彼が、ここ遠く奥琵琶湖のクリアなディープウォーターをポイントに
選んだのは、当然理由がある。

ここ、大浦はランカーの確率は高いが、フィッシングプレッシャーは
高く、クリアウォーターで攻めにくいポイントである。
しかし、磯村に1kg以上の差を開けて優勝しないと
チャンピオンを獲得できない輝幸にとっては、ここ大浦が
唯一無二のポイントだったのだ。

磯村はもう少し計量所に近い、沖島あたりをポイントに選んだようだ。
ここのポイントは、とにかく数が上がる。
一発のランカーこそ少ないが、着実にポイント狙いの
磯村らしい選択だ。
もちろん、他のプロたちも狙い目にはしていたのだが・・・・

とにもかくにも輝幸は、磯村・・・長谷部との勝負もさることながら
自分の釣りをするしかなかった。
今日の輝幸にはそれが出来るほどの集中力もあったし
何よりも、他を圧倒するハイテク装備という強い味方があった。


2008年8月20日(水)

NO-FISH・過去記事
連載小説 ”NO-FISH”1:第一章 プロローグ2:3:第二章 デビュー4:5:6:7:8:9:10:11:12:13:14:15:第三章 ミラクルバシング16:17:第四章 ライトゲーム18:19:20:21:22:23:24:25:26:27:28:29:30:31:第五章 ハイテク バシング32:33:34:35:36:第六章 リトルアングラー37:38:39:第七章 老人40:41:42:43:第八章 迷い・・・・44:45:46:47:48:49:50:51:第九章 フロック?52:53:54:55:56:57:58:59:60:61:62:63:64:65:第十章 最後の決戦66:67:68:69:十章 第二節 プレッシャー70:71:72:73:74:75:76:77:78:79:80:81:十章 第三節 懐かしいパワー82:83:84:85:十章 第四節 スーパーランカー86:87:88:89:90:91:92:93:94:95:最終章 ノーフィッシュ96:97:98:最終話99:あとがきNO-FISH