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何メートルほど巻いたであろう・・・・。
湖に沈みこむラインの角度から、だいぶ近くまで寄ってきている
事は確かなのだが、その割にそれほど巻けていないところをみると
やはり、奴は相当深くまで潜っているようだ・・・。

輝幸の額からは、どっと汗が噴き出ていた。
その唇は白く渇き、ひび割れてしまっていた。
ロッドを支える左手の筋肉は、ギシギシと悲鳴を上げ
パンパンに張っていた。
ハンドルを巻く右手は、摩擦で血だらけであった。

疲れきってはいたが、その神経はナイフの様に
研ぎ澄まされていた。

何メートルか下で奴が、じっとこちらを見ているような気がした。

「来るっ!」

そうつぶやいて、ぐっと体を強張らせた瞬間・・・・・
奴は、猛烈な勢いで横に走り始めた!。
ロッドアクションだけでは、とうてい追いつけない・・。
すかさずドラグを緩める。
血でドラグのハンドルが滑る・・・。

ジャー、という音と共にラインがみるみる出て行く。
さっき稼いだ三分の一も引っ張り出されてやっと止まった。

その位置で留まりながらも、引っ張る力は尋常ではなかった。
グングンとロッドをしならす・・・。


2008年9月19日(金)

NO-FISH・過去記事
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