90:

← 89: | fish | 91: →

何メートルほど巻いたであろう・・・・。
湖に沈みこむラインの角度から、だいぶ近くまで寄ってきている
事は確かなのだが、その割にそれほど巻けていないところをみると
やはり、奴は相当深くまで潜っているようだ・・・。

輝幸の額からは、どっと汗が噴き出ていた。
その唇は白く渇き、ひび割れてしまっていた。
ロッドを支える左手の筋肉は、ギシギシと悲鳴を上げ
パンパンに張っていた。
ハンドルを巻く右手は、摩擦で血だらけであった。

疲れきってはいたが、その神経はナイフの様に
研ぎ澄まされていた。

何メートルか下で奴が、じっとこちらを見ているような気がした。

「来るっ!」

そうつぶやいて、ぐっと体を強張らせた瞬間・・・・・
奴は、猛烈な勢いで横に走り始めた!。
ロッドアクションだけでは、とうてい追いつけない・・。
すかさずドラグを緩める。
血でドラグのハンドルが滑る・・・。

ジャー、という音と共にラインがみるみる出て行く。
さっき稼いだ三分の一も引っ張り出されてやっと止まった。

その位置で留まりながらも、引っ張る力は尋常ではなかった。
グングンとロッドをしならす・・・。


2008年9月19日(金)

NO-FISH・過去記事
連載小説 ”NO-FISH”| 1:第一章 プロローグ| 2:| 3:第二章 デビュー| 4:| 5:| 6:| 7:| 8:| 9:| 10:| 11:| 12:| 13:| 14:| 15:第三章 ミラクルバシング| 16:| 17:第四章 ライトゲーム| 18:| 19:| 20:| 21:| 22:| 23:| 24:| 25:| 26:| 27:| 28:| 29:| 30:| 31:第五章 ハイテク バシング| 32:| 33:| 34:| 35:| 36:第六章 リトルアングラー| 37:| 38:| 39:第七章 老人| 40:| 41:| 42:| 43:第八章 迷い・・・・| 44:| 45:| 46:| 47:| 48:| 49:| 50:| 51:第九章 フロック?| 52:| 53:| 54:| 55:| 56:| 57:| 58:| 59:| 60:| 61:| 62:| 63:| 64:| 65:第十章 最後の決戦| 66:| 67:| 68:| 69:十章 第二節 プレッシャー| 70:| 71:| 72:| 73:| 74:| 75:| 76:| 77:| 78:| 79:| 80:| 81:十章 第三節 懐かしいパワー| 82:| 83:| 84:| 85:十章 第四節 スーパーランカー| 86:| 87:| 88:| 89:| 90:| 91:| 92:| 93:| 94:| 95:最終章 ノーフィッシュ| 96:| 97:| 98:最終話| 99:あとがき| NO-FISH