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「余計な事を喋りすぎたようだ・・・・
 じゃ・・私は行くよ・・・

 あぁ、最後に君に言っておきたいことがあるんだ・・。

 今の君の目に写ってるのは魚なんかじゃない・・・
 その、最新鋭だかなんだか知らないが、魚探のスクリーン
 だけなんじゃないかな?

 もっと、自分自身に目を向けてごらん・・。
 そうすれば、今まで見えなかった物が見えてくるはずだ。

 そう・・・思い出すんだ・・・・本当の自分を・・・・」

そう言い残して、老人は音もなく去って行った。

しばらく老人の言葉を噛みしめていた輝幸は
ふと思い出したように、先ほど老人が釣っていたポイントに
向ってボートを進めた。

・・・・いかにも釣れそうなグッドポイントである・・・・

そこで暫く、あらゆるルアー、テクニックで釣ってみた。
しかし、老人が使っていたクランクベイトを引いても
ワームを使ってみても、他のどんなルアーを使っても
小さなアタリ一つなかった・・・。

輝幸は、ふぅーっと大きな溜息をついて
老人が消えていった方向を見返してエレクトリックモーターを
強引に湖面から引き上げると
「今日は日が悪い!
 あんな爺さんに釣れて、俺に釣れないなんて・・・・」
と呟き、スキーターS175リミテッドのV6エンジンに火を入れた。

全速力でマリーナに向かう輝幸を嘲り笑うかのように
老人のポイントで一つ・・・ライズがあった・・・・・


2008年7月11日(金)

NO-FISH・過去記事
連載小説 ”NO-FISH”1:第一章 プロローグ2:3:第二章 デビュー4:5:6:7:8:9:10:11:12:13:14:15:第三章 ミラクルバシング16:17:第四章 ライトゲーム18:19:20:21:22:23:24:25:26:27:28:29:30:31:第五章 ハイテク バシング32:33:34:35:36:第六章 リトルアングラー37:38:39:第七章 老人40:41:42:43:第八章 迷い・・・・44:45:46:47:48:49:50:51:第九章 フロック?52:53:54:55:56:57:58:59:60:61:62:63:64:65:第十章 最後の決戦66:67:68:69:十章 第二節 プレッシャー70:71:72:73:74:75:76:77:78:79:80:81:十章 第三節 懐かしいパワー82:83:84:85:十章 第四節 スーパーランカー86:87:88:89:90:91:92:93:94:95:最終章 ノーフィッシュ96:97:98:最終話99:あとがきNO-FISH