39:第七章 老人

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久しぶりのプライベートフィッシングを輝幸は
心底楽しんでいる訳ではなかった・・・・・
第二・第三戦のふがいない釣りを反省しているのである。

あれから、何においてもリズムが狂ってどうも調子が上がらない。
もうすぐ池原ダムでの第四戦があるというのに、全く落ち着かない状態だ。

少しでも気を紛らわそうと通いなれた琵琶湖へとやって来たのだが
プライベートな釣りでさえも、調子が上がらないといった具合である・・・。
真野浜からボートを出して、琵琶湖大橋辺りを攻めてみるが
どうもイマイチしっくりこないのだ。

・・・・アタリもなく、もう帰ろうか・・・とロッドを放り出してふぅっとため息をついて
辺りに目をやると、手漕ぎのコールマンカヌーが小魚を獲るための
エリの近くに泊っていた

60歳くらいの初老の紳士がロッドを振っていた・・・
エリの周りをクランクベイトで攻めているらしい・・・。

輝幸が見ているほんの数分の間に、明らかに50cmオーバーと思われる
ランカーを2本、立て続けにぶち上げて見せたのである。

そして、その後一切キャストすることなく
あっさりとその場から移動し始めたのである・・・・

輝幸は思わず、静かにエレクトリックモーターを使って
老人のカヌーに近づいた・・・

「失礼ですが・・・」


2008年7月 5日(土)

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