65:第十章 最後の決戦

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どんよりと重く垂れこんだ灰色の雲・・・・。
その雲に押し包まれるように、辺りの空気も重く
独特の緊張感が漂っていた。

超一流のプロ達の技と力と、そして誇りを賭けた
全日本バスフィッシングトーナメントも、いよいよ最終戦を迎えた。

チャンピオン争いは熾烈を極め、ほかのトーナメントでは考えられない
高度な戦いが繰り広げられていた。

現在ランキングトップは、日本を代表するバスプロ ベテランの磯村省吾。
2位には、若手でこれからを期待されている長谷部進次。
そして、3位には今年初参戦となる新人、藤野輝幸というオーダーだ。
チャンピオン争いは完全にこの3人に絞られているが
この日本一のバスレイク琵琶湖には、最終戦をぜひとも優勝で飾りたい
とするバスプロ達の執念の様なものが渦巻いて
華やかである反面、なにやらうすら寒い様な
異様な雰囲気であった。

10月も30日となれば夜が明けるのはかなり遅い。
まだ暗いうちから各プロ達はボートの整備や
タックルの最終チェックに余念がない。
ギャラリーも多く詰めかけてはいたが、その賑わいとは裏腹に
なにか独特の静寂感に包まれていた。

輝幸はこの琵琶湖に、とてつもないモンスターを投入してきた。


2008年8月11日(月)

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