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いや・・・奴は体力を温存しているだけであった。
自分でボートの方へ泳いで行ったのだ・・。

しかも・・・ただ寄るだけではなく、現在の深度を確実にキープしながらだ。

フィッシャーにとって、同じ10m寄せてくるのでも
向こうの方から寄せてくるよりも、真下から上げてくる方が
何倍も神経を使う。

まるで奴はそれを知っているかのように、水深をキープして
フィッシャーを油断させようとしていたのである。

・・・・が、輝幸はそのことに気付いていた。
今の輝幸には、魚が何を考えているのか手に取るように分った。
しかし、今はどうする事もできない。
分かっていながら、今のうちに少しでも巻いておかないと
ラインやリール、ロッドに負担がかかり過ぎる。

第一、輝幸の体力にも限界がある。
今は、いずれやってくるであろう奴の反撃に備えて
細心の注意を払いながら、巻き続けるしかない・・・。


2008年9月18日(木)

NO-FISH・過去記事
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