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イグニッション オン!

ブルッ・・ブルッとヤマハ製V型6気筒 175馬力のエンジンは
二度身震いして息を吹き込まれた。

2度・3度とアクセルギアを絞り込む。
ウァァーン・・・ウァァァーーン・・・
力強い咆哮が辺りの静寂を破る。

ウァァァーン・・・ウァァァァーン・・
さらに少しだけ回転を上げアイドリングさせる。
5・6分の暖気運転でエンジンの回転数は約1000回転に落ち着いた。

スタート3分前である。

輝幸より3台左には磯村のチャンピオンボートも
鋭い悲鳴にも似た咆哮を繰り返していた。

「負けるもんか・・・・」
磯村に一瞥をくれてやりながら輝幸は、ボソっと呟いた・・・・。

さぁ、いよいよスタートである。
午前6時20分。
参加23台のバスボートが唸りをあげて一斉に各自が目指すポイントまで
フルスロットルで疾走していく。
まるで、バスフィッシングのトーナメントではなく
ボートのスピード競技のようだ。

前日までのプラクティスで、各自最初に狙うポイントは決めてあるはずだ。
ある者はディープ(深場)を・・・・
ある者はシャロー(浅場)を狙ってボートを進めるのである。

それにしても23台のフルスロットルサウンドは強烈で
眠っていた辺りの空気を一気に叩き起こすには十分であった。


2008年5月27日(火)

NO-FISH・過去記事
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